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コラム

2022年12月23日

お店の個性を主張するファサードづくり

 

まちの中に自然のオアシスを実現して

集客します。

 

住宅街での商業施設には、その存在がまちの

グレードをも高めるようなファサード(建物の

正面)であることが求められています。

 

さりげなく自然を感じさせ周辺環境に馴染むデザイン

は、お店の経営にもよい効果をもたらすでしょう。

 

特に、環境意識の高い人を引き付けるためには、素材

や植物の扱いに最新の配慮が必要になります。

 

神宮茶処あじゃり

神宮茶処あじゃり

 

 

①ファサードデザイン(建物正面)のポイント

樹木や季節の草花で迎えるファサードは、ひと目で

「環境にやさしいお店」だと認識させる効果があり

ます。

 

住宅街では、緑化手法や草花の管理を先導するように

デザインされたお店は注目されるでしょう。

 

流行にも季節にも左右されない緑には、人を引き付け

る大きな魅力があります。

 

1)商業施設の場合は、店の経営理念やイメージに合致

するようにテーマを決め、コンセプトをうまく表現でき

る植栽を施し、人の記憶に残る設えにします。

 

2)植物は、オーナーが管理することが容易なものを

主体とします。

あるいは、専門業者と管理契約を締結し、いつも好

印象を与える状況を維持します。

 

3)植栽だけでなく、サイン、鉢やオーナメント、

商品のディスプレイ、インテリアなども工夫すること

で、内外で統一感のあるイメージづくりを行い相乗

効果を狙います。

 

4)配植や季節感の演出に留意し、植物を見るのが

楽しみとなるような設えをします。

 

5)樹木や草花は形や色がさまざまで、自然のもの

だけに雑然となる恐れがあります。

コンテナやフレームで整理し、演出を心がけます。

 

 

ハンギングバスケットやコンテナなどで演出する

場合の注意点としては、以下のようにまとめられ

ます。

1)ハンギングバスケットは、遠くからでも視認さ

れやすく、集客効果が高いですが、飲食関係のお店

では、害虫の駆除や薬剤散布による影響等をあらか

じめ注意しておきます。

 

2)通風・日照は必要ですが、風による花柄や枯葉の

飛散にも留意しなければなりません。

 

3)お店のアプローチをコンテナの花壇にすると、好

印象になり集客効果も期待できますが、管理を怠れば

逆効果にもなりえますので注意が必要です。

 

②フレームと植栽桝で構成する。

ファサード全面をフレームと植栽桝で構成すれば、

お店の存在感をより強調することができます。

 

自然の緑は形や色がさまざまなで、散漫になる恐れ

があります。

 

フレームで囲って、植栽することによって、遠くか

らでも個性的な店として認識されます。

 

下記の図の喫茶店では、山野草を中心に植え込み、

「自然」を切り取り、「癒し」を表現しています。

 

 

枕木のフレームの中間的空間をファサードにもってきた

ことで、店の奥行き感と、入ってみようという期待が

高まるように工夫しました。

 

 

目にやさしい緑は、心をなごませます。

植栽計画にあたっては、日照時間が短い場所でも

育つ、日陰に強い種類を選びました。

 

お店は、清楚であることが求められますので、毎月

1回剪定・清掃などを行う管理契約を結びました。

 

主な使用植栽には、高木では、イヌシデ、エゴノキ、

ソヨゴ、モミジなど、中木では、ツリバナ、トサミズ

など地被類では、山野草を主とした多年草、シダ類

などを使用しました。

 

 

 

  彰国社  著者:水内真理子

【植物を生かしたエクステリアデザインのポイント】

「5章 エクステリアの植栽でまちなみをつくる

  5-6 お店の個性を主張するファサードづくり  」より