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コラム
2022年12月16日
敷き際(境界)のデザイン
敷き際はまちなみの雰囲気を決定づけます。
敷き際は、公共の場である道路と個人の敷地の
境界を指します。
この部分をどのように仕上げるかが、まちなみの雰囲気
を印象づける大きな要素となります。
敷地が小さい住宅地では、敷き際を草花や植栽で連続さ
せることで緑を確保して、まちなみのグレードを高めます。
高低差のある住宅地では、道路から段階的に草丈を高く
して重層的に植栽することで、四季の変化を表現する
ボリューム感のある敷き際をつくり、歩行者の視線を
楽しませます。
以下の事例をあげながらデザインポイントを解説します。
①低く抑えた敷き際のデザイン
建物の基礎から道路までの間を全面的に低木で密植し、
多様な中・高木を植栽するとセキュリティー対策を兼ね
た高級感のある景観となります。
敷地と道路の境界は、地被類で緑化してボーダーレスに
仕上げれば、まちと住まいが一体化して親しみが増します。
写真5-4-2
少し高低差がある場合は、草丈を段階的に高く重層的に
緑化すれば高級感ができます。
写真5-4-3
②自然石を用い風格のあるデザインとする
1)法面にゴロタ石を貼り天端に植栽する方法
下記の図は、ゴロタ石の自然さと、緑の調和を演出して
います。
数年後、石積みの隙間から植栽が顔を出すのが楽しみです。
下部のみ滑り防止のためモルタルで固定します。
2)石積みを2段にして植栽します。
下記の図のように石積みを2段にすることで、植物の
ボリュームが豊かになり、やさしいまちなみとなります。
3)法面を残して石積み
下記の図は、石積みの天端を穏やかな法面として、
シバザクラなどの下垂れ性の植物で石の固さを
やわらげています。
自然法面は、傾斜角度30度以内の勾配とします。
切石積みは、住宅造成等規制区域内では、擁壁として
認められませんが、RC擁壁の化粧材として、または
裏込めコンクリートと一体で重力式擁壁として使用します。
③わずかな隙間の敷き際のデザイン
狭小地で敷き際にスペースがない場合でも、床と立ち上が
りの接点は少しの隙間であっても丁寧につくり、緑を絡ま
せることで柔らかく仕上げます。
塀のある場合、塀と道路の間に少しでも植栽のスペースを
残し、外側に低木や地被類を植え、無機質な塀が連続しな
いようにします。
彰国社 著者:水内真理子
【植物を生かしたエクステリアデザインのポイント】
「5章 エクステリアの植栽でまちなみをつくる
5-4 敷き際のデザイン 」より