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コラム
2022年12月9日
まちなみのセットバックは美しい景観
セットバックのルールをつくる
エクステリアで美しいまちなみをつくるためには、
向こう三軒両隣にある部分で共通した計画方針が
存在している必要があります。
「私地公景」の思想(個人所有地の道路から見える部分は、
公共の景観に寄与させる)に基づき、戸建住宅所有者の
マナーであり、道行く人や環境へのやさしい配慮でもあり
ます。
個々の住まいは個性的であっても、セットバックゾーンで
まとまりをつっくることで、「統一と個性」のバランスを
とり、このゾーンを里山的なランドスケープに仕上げれば、
環境にやさしいまちなみになります。
計画のポイントは、以下のようにまとめられます。
①壁面後退距離は、建築基準法の想定外の敷地であっても、
一定の区画については、自発的にセットバックゾーンを定
め、その仕上げについても植栽帯にするなどのルールを定
めます。
このルールを担保するために、建築基準法に基づく建築協定
や都市緑地法に基づく緑地協定を締結し、行政機関に届け出
をするもの有効な手段となります。
②セットバックゾーンを、道路部分の植栽や仕上げ素材と整合性を
もたせる工夫や組み合わせをすることで、まちなみと住まい
の一体化が図れます。
③セットバックゾーンには、門柱や駐車場の上屋などの
構築物を禁止して、緑化することで緑豊かなまちなみと
なります。
さらに、門まわりの意匠およびシンボルツリーや囲い
(生垣)に関するルールも合わせてつくるとより効果的
になります。
④セットバック部分の管理について、共同で委託するなど
の管理のルールや体制をあらかじめ用意しておくのが望ま
しいです。
彰国社 著者:水内真理子
【植物を生かしたエクステリアデザインのポイント】
「5章 エクステリアの植栽でまちなみをつくる
5-2 セットバックのルールをつくる 」より