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コラム

2022年12月5日

駐車場をまちなみ景観として

 

道空間の広がりを演出する

連続した駐車場

 

美しいまちなみは、個性化と全体の調和が

図られています。

 

「まちなみ」の景観で、官民境界が直線であっても、

生垣や高木などの外構計画で、緑のラインが計画的に

道空間の「うねり」となったとき、まちなみの美しさ

が見出されています。

 

 

①セミパブリックゾーンの計画

 

駐車スペースや門まわりは、個人の敷地内ではあります

が、視覚的には「セミパブリックゾーン(半公共空間)」

として、統一したデザインコンセプトのもとで設えます。

 

計画のポイントは、以下のようにまとめられます。

1)駐車スペースや門まわりは一体化し、さらに数戸単位

で一体的に計画します。

各敷地内は、道路沿いをセミパブリックゾーンとして、

両隣の住戸と視覚的な連続性をもたせ、道空間から見て、

連続したラインとなるように計画します。

 

2)セミパブリックゾーンとプライベートゾーンの境界に、

生垣などの囲いを設えてできるラインが道空間に広がりを

もたらし、まちなみ景観を創造します。

 

 

 

この道の広がりラインは、向かい合って対象(画一的)

にならないように、自然な変化が必要であり、さらに、

道路の舗装材と同一の素材を各戸の駐車スペースの舗

装材として使用することで効果が発揮されます。

 

 

このラインは、ところどころで狭くなって緊張感をつ

くり、大きく広がることで開放感をもたらします。

この変化が、素材や色彩の統一と相まって美しい

「まちなみ」をつくります。

 

 

②駐車スペースの計画的な配置で、まちなみ

景観をつくる。

まちなみデザインを計画することは、コミュニティーの

魅力づけを行うことでもあります。

 

一般の宅地の敷地面積では、生垣などの囲いが、門や

駐車場の出入り口で細かく分断されてしまいます。

美しいまちなみを観察しますと、囲いの長さがある程度

確保されていることが多いです。

 

そこで、駐車スペースのとり方を計画的に行い、まちなみ

に連続性を保つ工夫をすることで改善を図ります。

 

隣接する住宅の駐車スペースは、ペアで配置し(下記の

写真・図)、門まわりなどの出入り口や構築物は、道路

面より敷地内に後退させて設置して歩行景観(走行景観)

からは目立ちにくくします。

 

 

 

さらに、道路と敷地のボーダーレスに仕上げれば、まち

なみに統一感ができ、コミュニティー意識の向上も期待

できます。

 

 

縦列駐車の場合(下記の写真・図)も同様に、民間境界で

ある敷き際のラインを両隣の住戸と連続させ、ボーダー

レスにすることでまちなみと住まいに一体感が生まれます。

 

 

 

官民境界である敷き際の幅、高さ、材料、色彩および

デザインを揃えることで、魅力的な「まちづくり」が

スタートします。

 

 

 

  彰国社  著者:水内真理子

【植物を生かしたエクステリアデザインのポイント】

「5章 エクステリアの植栽でまちなみをつくる

  5-1 道空間の広がりを演出する連続した駐車場  」より