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コラム

2022年11月25日

メッシュフェンス・トレリスで緑のカーテンをつくる

 

メッシュフェンス・トレリスは、

隠す装置であり見て楽しむもの

 

日本庭園に用いる竹垣は、庭の中を見え隠れで

やさしく遮り、変化をつけます。

竹垣自体に竹の美しさ、結び目の工夫の妙があり、

作品として見ても趣のあるものになっています。

 

竹垣

 

厚いレンガの壁で仕切るヨーロッパなどの庭とは

異なり、内と外とのつながりを空間的には感じつ

つ、何となく仕切ります。

 

このような装置が、日本人の好むエクステリアとして、

受け入れやすくなっています。

 

 

①トレリスを活用します。

本来、トレリス(trellis)には、「格子」「格子状」

という意味があり、草花のつる性植物が格子に絡まって

いく装置を指す場合が多いです。

 

メッシュフェンスを使ったトレリスで、庭空間に曖昧な

目隠しを設置すれば、そのトレリス自体が緑の装置として

季節感をつくり出し、庭の中心的な存在にもなりえます。

 

 

②メッシュフェンス・トレリスの効果的な使い方

1)見せたくないものをカバーします。

間口の狭い都心の住宅では、隣家の生活感あふれる光景が

庭の景観に入ることで、困惑することが多くあります。

メッシュフェンス・トレリスは、庭の構成要素の植物を生

かしながら、この問題を解決します。

 

下記の写真は、京都の町家の庭ですが、トレリスの向こう

はトイレと浴室で、「見られたくない」「見たくもない」

の両者の要求が一致しています。

 

 

気配や存在はわかりますが、ヘンリーヅタが絡まり、何が

あるのかわかりません。

風通しを確保できるのも、トレリスの長所のひとつです。

 

 

2)庭の中に異次元の空間をつくります。

庭をゾーニングして機能を分節化するときに、メッシュ

フェンス・トレリスは有効です。

 

自慢のバラなどのつる性植物の栽培や鑑賞に、庭にメッ

シュフェンス・トレリスのスクリーンをつくります。

 

下記の写真は、トレリスをL字形に配置し、バラを効果

的に見せています。

 

トレリスの向こうは、実はブロック塀で味気ないのです

が、バラの効果でその存在を消しています。

バラの見事さをより強調することができ、反対側からで

も楽しむことができます。

見せたいものを効果的に見せることに成功している例

なります。

 

下記の写真は、広い庭をリビングの前の部分だけフェン

ス・トレリスで切り取り、別の庭として設えた施工事例

です。

 

トレリスの枠は、枕木を用いた力強いフレームとして、

庭の内部に落ち着いた中間領域をつくり出しています。

 

 

3)囲われる快適さ

下記の図のスケッチのように、トレリスで囲まれた空間

は、外からの視線から守られ、緑に包まれ、気を抜ける

居心地のよい空間になります。

 

メッシュの目も、正面から見ると、中がまともに見えて

しまいますが、遠目から見ると線が緑が面になり、壁の

役割を果たし、囲われる快適さを味わえます。

 

 

  彰国社  著者:水内真理子

【植物を生かしたエクステリアデザインのポイント】

「4章 植栽と調和する素材の活用

  4-7 メッシュフェンス・トレリスで緑のカーテンをつくる  」より