column
コラム
2022年11月14日
人工的な資材と植栽の接点
ボーダレース(境界がない)な設えがポイント
エクステリアでは、舗装材や組積材にレンガや
タイルやコンクリート、石や枕木など、さまざ
まな材料を使用しますが、表情の硬いものもあ
ります。
駐車場やアプローチなど、特に舗装面が広い場合は、
その固さが庭の表情としての印象を決定してしまい
ます。
そこで、植物を上手に用いれば、固い構造物の表情を
やわらげ、構造物と植物が融合した造形が可能となり
ます。
舗装材に限らず、擁壁や門柱などにも応用できます。
また、フェンスの足下、舗装材の小口(材料の断面)
など、材料の端部は見せたくありません。
それらの部分を隠す方法として、境界を曖昧にする
植栽は重要な役割を果たします。
①舗装材と植栽の接点
インターロッキングブロックやアスファルト舗装など
では、端部の小口が露出すれば、見苦しく、端部が崩
れやすくなり、品質上も問題のあるディテールにもな
ります。
※インターロッキングブロックとは、「舗装材に用いるコンクリート
ブロックの一種」のこと。
※ディテールとは、「建築やインテリアにおける、小さな部分、細かな
部分」のこと。または「詳細を表した図面(詳細図)」のこと。
このような場合は、下記の図のように、地盤に若干膨ら
みをもたせ、踏圧に強い下草を植えておきますと、時間
の経過とともに植物が石舗装に覆い被さり、小口を隠す
効果と、舗装に柔らかい表情をもたせることができます。
踏圧に強い下草としては、タイム類、タツナミソウ、タマ
リュウ、ヒメツルソバなどがあります。
②擁壁と植栽の接点
石積みやコンクリート擁壁などは、宅地の周囲にある場合が
多く、長さもあるため、重苦しく殺風景に見えてしまいがち
です。
目線より下が天端となっている擁壁は、特に天端の小口が丸
見えで、重く無粋な印象を与えてしまいます。
可能な限り天端に植栽を施し、柔らかく垂れ下がる種類のも
のを取り入れて、表面をカバーしますと、植栽が生き生きと
した情緒を添えてくれます。
この場合、単調な擁壁に対して規則的な植栽をしていまいます
と、単調でつまらなくなりますので、できるだけ自然に見える
ように、いろいろな種類を取り混ぜて植えるのが良いでしょう。
常緑をベースに、ところどころに季節の花をつけるものを織り
交ざれば、まちなみに対しても美しさを提供できます。
下垂れする強健な植物には、アイビー類、コバノランタナ、
ビンカマジョール、ブルンバコなどがあります。
コバノランタナ
ビンカマジョール
ブルンバコ
③門柱などの構造物と植栽
フェンスや門柱の足下は、基礎のモルタルが見えていたり、
門柱と舗装の間に砂が溜まってしまったりして、美しさを
そこなう要因が多くなります。
また、構造物が単体で見えてしまうことで、雑多な印象に
なり、逆に狭さを感じたりもすることになります。
低木や下草で、足下を統一的に植栽することで、しっかり
隠し、植栽の中に構造物が沈む込むような工夫をしますと、
一体感が出て、さらに構造物の大きさが主張しすぎず、ま
とまった空間となります。
さらに、バックに中・高木を植えますと、門柱の高さの印
象がやわらぎ、落ち着いた感じになります。
足下の植栽には、アガパンサス、クリスマスローズ、セイ
ヨウイワナンテン、ラベンダー類などのような常緑種で季
節感のあるものが適します。
アガパンサス
セイヨウイワナンテン
彰国社 著者:水内真理子
【植物を生かしたエクステリアデザインのポイント】
「4章 植栽と調和する素材の活用
4-4 人工的な資材と植栽の接点 」より