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コラム

2022年10月10日

日陰をつくるパーゴラのつくり方

 

暮らしを充実させる半野外空間

 

パーゴラをつくる目的には、室内の延長として

半屋外空間をつくって室の機能を充実させた

り、住宅と分離してアウトドアライフを楽しむ

ことにあります。

※パーゴラとは「柱と桁で作られたガーデンアイテム」

 屋根部分が格子でできていて、そこに植物を絡める。

設置場所としては、リビングなどの屋外のテラス上部

ルーバーとして設け、直射日光を遮る場合や、バス

コートの上部に視線を遮るためにつくる場合、庭の一角

に設けて植物を絡ませ、緑陰空間を楽しむ場合などが

ありますが、その目的によってつくり方が異なります。

 

①庭の施設としてパーゴラ計画のポイント

庭の一角にパーゴラをつくり、つる性植物を絡ませる

場合(下記の図)、独立した構造物として、水平力に

耐えられるように、メッシュや部分的な板張りで壁面

をつくり、上部は筋かい状にワイヤーを張ったり、火

打を入れるなどの補強をします。

植物を絡ませるための桟の間隔は、樹種にもよりますが

5㎝程あると、人の手による誘引をしなくても、植物

は自らつるを絡ませることができます。

10㎝を超えますと、人の手による誘引が必要となり

ますので、補助桟を付けます。

 

樹種は、一般的にフジやバラなどの落葉樹が好まれます。

常緑のつる性植物は、棚の下が暗くなりすぎる恐れが

あります。

植栽密度は、植物にもよりますが、棚面積5㎡あたり

1株あれば十分です。

植栽当初は、密度が低く、寂しい感じがするので、

1㎡に1株程度植栽し、数年後に間引くという方法も

あります。

 

 

②室内の延長としてのパーゴラ計画のポイント

リビングの延長空間として、テラスの上部にパーゴラ

つくれば、室内外をつなぐ中間領域として多様な用途

期待できます。

また、バスコートの上部のパーゴラは、採光を確保しな

がら視線を遮る役割をもちます。

この他、サービスヤードの上部に半屋外空間としてつく

る場合があります。

パーゴラには、木製、スチール製などのさまざまな材質

がありますが、モッコウバラなどの植物を絡ませれば、

日除けにもなり、夏の強い日差しを防ぎ、また隣家から

の視線を遮ることもできます。(モッコウバラには、棘

のない品種もあります。花の色は、白と黄色があり、白

は香りがあります。)

 

パーゴラをつくるときは、以下の点に注意します。

a)ルーバーの向きや高さ、間隔は現場の状況

 (方位、隣家からの視線の方向など)によって

  考慮します。

 

b)木製パーゴラの柱は、90㎜角で建てることが多

  いです。

 出入りの際、邪魔になるため筋かいを入れることが

 難しいので、振れ止めのために建物に固定すること

 が望ましです。

 

c)植物を絡ませる場合は、ワイヤーや補助桟をルーバー

と直角方向に設け、植物を誘引します。

 

d)パーゴラにガラスなどの屋根材を張ると、建築面積

  に算入しなければなりません

 
 

  彰国社  著者:水内真理子

【植物を生かしたエクステリアデザインのポイント】

「3章 ゾーン別植栽計画のポイント

  3-12 日陰をつくるパーゴラのつくり方 」より