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コラム

2022年10月7日

ビオトープガーデンで水辺環境をつくる

 

エクステリアで生物の多様性を考えます。

 

●ビオトープガーデンで水辺環境をつくる

ビオトープとして、もっとも認知度が高いのは、水辺

環境をつくることです。

バードバス

水中と陸をつなぐ水際部は、「エコトーン(移行帯)」

と呼ばれ、水質の浄化や生態系の形成など大きな役割を

果たすものであり、多種多様な動植物の生息場所となり

ます。

庭においても、そうした自然風景への憧れから池をつく

り、水辺環境を計画したり、水鉢に水性植物の寄せ植え

をするなど人気があります。

図3-11-2

 

1)池

住宅の庭につくる池は、あくまで庭として楽しむための

ものであるので、生物の多様性や自生種についても念頭

に置きつつ、庭としての設えも考慮したいものです。

 

池に放す魚についても、鑑賞用に販売されているヒメダカ

やタニシなどを利用しますが、これらの生物は増えたから

といって、周囲の自然に安易に放逐してしまうと現在の生

態系にトラブルを起こすおそれがあるため、庭の中でのみ

楽しむべきものであることを心得ます

池の水は、循環させるなど、流れを起こすようにしなけれ

ばなりません。

 

2)水辺の植物の分布域

a)水辺の植物

その生活水域によって、下記の図の①~⑤のように分類さ

れますが、いずれも植栽する場所に適した植物を選びます。

図3-11-3

①湿生植物:湿原や湿地、池・水田などに生える植物(抽水

と連続性あり)。

アゼスゲ、カラー、サギソウ、ミソハギ、リュウキンカなど。

サギソウ

 

②抽水植物:水深の浅い部分に根を張り、地上部は空気中に

出て生育します。

アシ(ヨシ)、カサスゲ、クレッソン、ショウブ、ミズバショウなど。

 

③浮葉植物:根を水底に張り、茎を伸ばして葉や花を水面に

浮かせます。

アサザ、コウホネ、スイレン、ハス、ヒシなど。

池に浮かぶハスの花

 

④沈水植物:根を水底に張り、植物自体も水中に沈みます。

ネジレモ、サルビニア、ホテイアオイなど。

 

⑤浮遊植物:根を水底に下ろさずに、水面に浮く植物です。

オオアカウキクサ、オオサンショウモ、ハス、ヒシなど。

 

b)水鉢に水生植物を植えて楽しむ

身近で簡単に楽しめるものとして水鉢があります。

水辺の植物を寄せ植えし、水を張ってメダカなどを放して

楽しむことができます。

写真3-11-1

ハスやスイレンなどの美しい花をモダンな水鉢で楽しんだり、

水生植物の涼やかな印象を楽しむなど、水鉢のデザインや植

物の組み合わせでインテリア感覚で楽しむことができます。

 
 

彰国社  著者:水内真理子

【植物を生かしたエクステリアデザインのポイント】

「3章 ゾーン別植栽計画のポイント

3-11 ビオトープガーデンのつくり方 」より