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コラム
2022年9月26日
北側道路の敷き際はオープンに
北側道路の敷き際は、道行く人の視線を
楽しませることができます。
北側に道路がある敷地の場合、南庭を確保するため
住宅を北側に寄せ、道路と住宅との間の空間は、
一般的に狭くなりがちです。
このスペースは、公道に面し、まちなみ景観をつく
る部分であり、歩行者の視線を無視することはでき
ません。
北側道路の敷地境界線(敷き際)の設えについて
考えます。
①北側道路の敷き際の対策
このような敷地条件は特異なものではなく、南向き
敷地とほぼ同じ数だけ北向き敷地があります。
特に、敷地が道路より1mほど高くなっている場合、
土留め擁壁の上に転落防止策として、ブロック
フェンスなどを施工しますと、道路から2m以上の
垂直の壁が立ち上がり、道路を通行する人の圧迫感が
強くなり、景観的にも美しくありません。
しかし、設計手法によっては、課題を見事に解決して、
北側道路と思わせない景観を創造することも可能です。
北側道路の敷き際対策のポイントとしては、
1)敷地境界に囲いを設けずオープンにする。
2)高低差のある場合は、歩行者の目線の高さに草花を
植え、明るく季節感を演出します。
3)地肌をできるだけ見せないように、日陰に強い地被
類や低・中木を植栽します。
日陰に耐える代表的な植物は、中・高木の常緑樹では、
サザンカ、シラカシ、ソヨゴなど、低木の常緑樹では、
アオキ、アセビなどがあります。
ソヨゴ
アオキ
落葉樹では、イロハモミジ、ガクアジサイ、ナツツバキ、
ハナミズキ、ヤマブキ、ヤマボウシなどが挙げられます。
イロハモミジ
ガクアジサイ
②施工事例
1)石積みの上に枕木で枠をつくり花壇とします
下記の写真・図は、敷地高低差50㎝程度で、既存の
石積み擁壁のある事例です。
石積みの上に、枕木の土留めを設け、濃い色彩で引き
締め、石積めラインを強調し、客土として石積みの裏
込め部分を花壇に活用しました。
草花で華やかさを演出し、さらに駐車場の舗装として
レンガ、小石などをランダムに敷き込んだデザインと
しました。
道路に開かれたアプローチは、石やレンガと草花が互
いに引き立て合い、オープンな外構スペースが庭空間
として認識されることを目指しました。
2)法面を生かす
下記の写真は、敷地高低差が1m程度の事例です。
道に対して、より開放的な景色とするため、土留めを
高低差の1/3程度の高さまでとして、あとは法面にして
います。
門柱も低めの花台で入口を意識させ、法面を利用して、
自然の野山を散策するようなアプローチをつくり、草
花、低・中・高木と多様な植栽のオープン外構でまと
めています。
北向きの敷地条件での植栽は、暗くなりがちですが、
コンテナに草花を植え、明るく季節感のある演出を
するとよいでしょう。
道路に沿った斜面となるため、維持管理に配慮して、
鉢植えの草花は多年草とし、自動散水装置を設置する
ことが望ましいです。
彰国社 著者:水内真理子
【植物を生かしたエクステリアデザインのポイント】
「3章 ゾーン別植栽計画のポイント
3-10 北側道路の敷き際はオープンに 」より