column
コラム
2022年8月8日
北側の狭いスペースに庭をつくる
シェードガーデンのつくり方
北側の限られたスペースであっても、植栽
によって居心地のよい庭とすることは可能
です。
環境としては日陰になりますが、日陰に強い植物
には、落ち着いた印象を与える山野草や多年草も
多く、これらをうまく組み合わせて適所に配置す
れば、魅力的なシェードガーデンをつくることが
出来ます。
シェードガーデン(日陰や半日陰に作る庭)
ただし、スペースが限られる場合は、樹木などは
圧迫感のない楚々とした印象の植物が望まれます。
また、狭いスペースにおいては配置するものの
素材や種類を限定し、まとまりをもたせ、高低差
をつくり、立体的にすると効果的です。
①壁面後退スペースを庭として計画する。
住宅地では、隣地境界線から1~1.5m後退を
義務づけられる場合が多いです。
限られたスペースであり、また生活上の動線として
利用される北側のスペースで、ガーデニングを楽し
むのには、通常の通路としての機能を維持できる
計画が必要となります。
以下、部位ごとにポイントをまとめます。
1)ウッドフェンスでプライバシーを守る
図3-3-1のA部分
隣地の建物が迫っている場合、お互いにプライバシー
を確保しながら空間を豊にしたい。
このような場合、ウッドフェンスの設置が適しています。
窓位置を考慮に入れて壁付け型のガーデンライトなど
も取り入れると、防犯対策にもなります。
また、植物の「高さ」のアレンジとして、つる性植物を
採用すると、狭いスペースでも視線の高さで緑を楽しむ
ことができます。
2)自然石と地被類で通路をアレンジできます。
図3-3-1のB部分
限られたスペースでは、ガーデニングのための花壇を
設置するようなスペースの余裕はありません。
そのため、自然石の飛び石風の通路、隙間に植えた草花。
あいたスペースには、石と草花を利用したミニロック
ガーデンなどをつくり、「歩きながら緑を楽しむ」発想
をもつと楽しいです。
3)室外機、電気温水器などの設備はカバーで隠す
図3-3-1 C部分
狭いスペースに庭空間をつくるので、設備などの材質的
に違和感のあるものは、イメージを壊してしまう恐れが
あります。
こうしたものは、カバーなどを取付け、隠すことが大切
です。
②植栽計画のポイント
株立ちの樹木の足下に地被類を植え付け、爽やかな風情
を楽しむ計画にすると、すっきりとした景色をつくるこ
とができます。
北側の狭い通路で、部位ごとに適する植物をまとめると、
以下のようになります。
図3-3-4
a部分(ウッドフェンス内側)に適する樹木としては、
1)常緑高木:ソヨゴ、モチノキ、モッコクなど。
2)常緑高木:エゴノキ、コハウチワカエデ、ハナミズキ、
モミジ類、ヤマボウシなど。
3)常緑中・低木:ナンテン、ヒイラギナンテンなど。
4)常緑中・低木:アジサイ類、ムラサキシキブなど。
b部分(ウッドデッキの足下)に適する低木・地被類は、
アジュガ、アマドコロ、エビネ、キボウシ、クリスマス
ローヅ、シダ類、シャガ、シラン、ツボサンゴ(ヒュー
ケラ)、ツワブキ、フウロソウ、ムラサキハナナ、ヤブ
ランなど。
ウッドフェンスに這わせる、つる性植物は、フィカス・
ブミラ、ヘンリーヅタなどがお薦めです。
彰国社 著者:水内真理子
【植物を生かしたエクステリアデザインのポイント】
「3章 ゾーン別植栽計画のポイント
3-3 北側の狭いスペースに庭をつくる 」より