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コラム

2022年8月1日

敷地条件での門まわり設計

 

門まわりの植栽で住まいの印象は

決まります。

 

★敷地条件の設計

1)門扉のない場合

門扉のない玄関まわりの空間は、結界がない分、

曖昧で自由な雰囲気をつくります。

少しのスペースでも見逃さず植栽します。

 

そこに施される植栽は、道行く人も楽しめる

のになります。

 

コンテナを重視し、住宅や周囲に調和する個性

的な鉢を選びます。

 

コンテナガーデン

 

道路からのアプローチが短い場合は、門柱、

フェンスなどにかかる予算を植栽にかけること

で、緑豊かな空間ができます。

 

駐車スペースもアプローチも見た目には「庭」と

なるように心がけることが大切です。

 

門扉のない場合は、駐車スペースの面積が目立つ

ので、床仕上げがデザインのポイントになります。

車を出したあとは、駐車スペースは道と一体と

なって、多くの視線に触れるからです。

 

下記の写真のように車止めを設け、車の後輪より

後ろを花壇にすることで、舗装面積を小さく

することができます。

 

車1台分のスペースを幅3m×奥行き6mとすれ

ば、花壇はそのうちの幅3m×奥行き1mの3㎡

ほどの面積を確保できます。

狭小地では、貴重な緑地スペースとなります。

 

道路にある程度広さがある場合は、舗装材の範囲

を明確にせず、地被類などで馴染をもたせて融合

させて、緑のペーブメント(舗装道路)に見えるようにします。

 

レンガや平板系舗装材を用い、目地や貼りパターン

を地被類と組み合わせてデザインします。

 

奥にベンチを設ければ、車がないときには、美しい

フロントガーデンとなります。

 

 

2)道路からのアプローチが短い場合

道路から玄関までの距離が短い場合は、ポストや

表札などが一体となった機能門柱が使われます

 

この機能門柱を主役として、その背景に「見越し」

の植栽を行うことで、緑を背に直線的な機能門柱

が引き立ちます。

 

機能門柱の足下には、「前置き」の植栽を行い

ます。

高低差のある階段の端部の小口を隠し、柔らか

い雰囲気をつくり出すためには、小口を隠す樹

木としてユニファー類などを使います。

 

ユニファー類

 

 

3)道路と敷地に高低差のある場合

敷地と道路に高低差がある場合は、階段を上っ

て門扉やポスト、インターフォンを設置する場

合と、階段を上がる手前に、これらを設置する

場合があります。

 

造成された住宅地などは、階段の位置や高さな

どが、初めからつくり込まれているので、位置

や勾配を変更することは難しいので、限られた

スペースを見落とすことなく、ていねいに緑を

取り入れていくことが重要です。

 

特に、階段の両端部にスリットグリーンを設け

たり、壁面をトクサのような細く高い植物や

つる性植物で緑化します。

トクサ

 

 

4)スペースに余裕のある場合

門まわりのスペースにゆとりがある場合は、アプ

ローチに期待感をもたせることが可能になります。

 

下記の写真は、高低差のあるアプローチの事例です。

広い敷地のアプローチ全体を、蹴上げが低く、踏

面の広い階段としています。

 

階段が多く蛇行させた階段は、象徴的オブジェと

なり、期待感をもたせながら玄関へ導くことがで

きます。

 

下記の写真は、門塀を設けず、オープンにして、

大きなシンボルツリーの下をS字形に貼り分けた

石敷きのアプローチで、玄関までの道筋を印象的

にしています。

 

手前に置かれた白いプランターと、蛇行させたアプ

ローチの石貼りが、遠近感を強調しています。

 

 

 

彰国社  著者:水内真理子

【植物を1生かしたエクステリアデザインのポイント】

「3章 ゾーン別植栽計画のポイント

3-1 門まわりのデザインと植栽計画  」より