column

コラム

2022年7月4日

窪みをつくる

 

窪みをつくる

「窪みをつくる」とは、アルコープを効果的

使い、心地よい空間をつくること。

 

 

①アルコープは静かな隠れ家的空間

アルコープ(Alcove)とは、部屋や廊下などの壁面

の一部を後退させてつくる窪み状の部分をいいます。

 

アルコープの空間には基本的に、均質な長い空間を

分節化して、ヒューマンスケールの居心地のよい

空間を創造する効果があります。

※ヒューマンスケールとは、「人間が安心して快適に感じられる

 適切な空間の規模やものの大きさを示す」ものです。

 

エクステリア(庭・外構等)では、このアルコープ

を主庭はもちろん、坪庭やサービスガーデン、官民

境界の敷き際などに活用するケースもあります。

※官民の境界とは、道路や水路など役所が所有している官有地と

 民間が所有している民有地との境界のこと。

 

 

1)境界壁におけるアルコープ

単調になりがちな境界壁のラインを分節化して、

アルコープして窪ませ、そこに庭のポイントと

なるような彫刻などを置き、周囲を植栽でアク

セントをつけて強調します。

境界壁を分節化してアルコープを設置する

比較的簡単にできる方法ですが、単調な壁が豊かに

変わります。

 

アルコープを設置する場所は、住宅の室内から見て

視線の集まるポイントとします。

 

 

2)生垣を使ったアルコープ

場所にゆとりがあれば、生垣を窪ませることでアル

コープを形成することができます。

 

そこにベンチでも置けば、庭の特別な見せ場とする

ことができます。

 

このベンチは、象徴的なものでも良いですが、実用

的に座れるものとしても落ち着ける隠れ屋的空間と

なります。

 

構造物がいらないので、比較的安価で手軽につくる

ことができます。

生垣でつくるアルコープ平面

生垣でつくるアルコープ立面

高木の植栽などと組み合わせれば、遠近感も出ます。

 

 

②塀における窪み

塀をS字形に築造すると、道路側からも、建物側から

もアルコープができます。

S字形のアルコープ

 

アルコープ部分に、植栽したりコンテナを置けば、内外

ともにリズム感のあるエクステリア(庭・外構等)に

なり、デザイン的にもアクセントがつき印象的です。

さらに、こうした構造は地震に強い塀となります。

 

 

彰国社  著者:水内真理子

【植物を生かしたエクステリアデザインのポイント】

「2章 植栽計画の基本的な技法

    2-9 植栽による空間演出⑧ 窪みをつくる  」より