気勢を生かした植栽
植物には表と裏があります。
それは高木のみならず、中木、低木、小さな草花に
いたるまで存在しますが、それらがもつ気勢を見極
めることが大切です。
気勢の方向を把握して、見せようとする視線に対し
てもっとも美しい姿を表す方向が表です。
庭を見る人に対して植物の裏を見せるような植栽を
すると、不快な空間になってしまいます。
①水際の植栽
たとえば、サクラが水際に植えられていると、自然と
水を求めて頭を垂れていきます。
それが自然の摂理であり、もっとも自然な姿です。
新たにサクラを植える場合は、それを再現するように
水の方向へ傾けて植えなければ、サクラとしての特性
を表現できません。
②樹木を群として見る場合
山の木々はそれぞれ独立した表情をもっていますが、
上向きの勢いで育っていきます。
これは、木々の根元の軸線が地中の1点に向かって
求心性をもっているからで全体に安定した景観と
なっています。
こうした法則を踏まえて植栽することが、バランスの
よい植栽への近道です。
彰国社 著者:水内真理子
【植物を生かしたエクステリアデザインのポイント】
「2章 植栽計画の基本的な技法
2-3 植栽による空間演出② 気勢を考えた動きのある景観づくり 」より