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コラム

2022年6月10日

植栽の方法2(配植パターン)

 

配植パターン

 

①単植

造形の基本を、点、線、面で考えるなら単植

(1本植え)は点の方法になります

 

中心点、集中点、起点、終点などに用い、意匠上

からは、強調、集中、誘導などが効果となります。

 

シンボルツリーは、一般に単植で用いられます。

 

その樹木自身に特徴があり、それだけを見せたい

場合や、植桝から考えて2本以上の植栽が望ましく

ない場合などは単植の方法を用います。

※植桝とは、縁石やコンクリートで仕切られた場所のこと。

 

洋風の単植はコニファー類のようなシンメトリー

(左右対称)の樹木を使い、和風では、門冠の樹木の

ようにアシンメトリー(左右非対象)の樹木を使います。

 

ユニファーウィルマ

門冠の松

※門冠とは、門の左右どちらかに庭木を植え、その枝の一

つが門の上の方に伸びるようにする植え方のこと。

 

 

 

②対植

対植は2本の樹木を関連づけて植栽します。

 

2本の間隔が両者の高さの和の範囲であると、2本の

樹木は関連づけられます。

それ以上、樹木が離れていると対立関係になります。

 

 

 

③双植

双植は種類の異なる2本の樹木をワンセット

植栽します。

 

2本が同じ種類の場合、花の色を変えたり高さに変化

もたせたりします。

まちの入口のゲートツリーや門柱の代わりに用いる

こともあります。

 

ゲートツリー

緑起のよい樹木として紅白のウメやハナミズキを

植えることもあります。

 

ハナミズキ

 

雌雄は、夫婦石、夫婦松など、1対の大小の組み合わ

せを夫婦の姿にたとえたもので、昔から日本では、

その絶妙なバランスを好みました。

 

 

 

④三植

3本の樹木を不等辺三角形に配置する方法です。

日本庭園では基本となる安定した配置となります。

 

中心となる樹木(真)、脇にあってそれを助ける

樹木(添)、それに対立の意味をもつ樹木(対)の

三者の組み合わせを基本とします。

樹木の高さの高・中・低と後部・中央・手前という

バランスが日本人の感覚には馴染みやすいです。

 

 

 

⑤列植

同じ種類、同じサイズの樹木を一定の間隔で

並べて植える「線」の方法です。

自然界ではありえない状態なので、つくり手の

意思を感じさせます。

たとえば、ある方向へ誘導する場合や、境界を

明示するときに用います。

 

なお、庭の植栽では、樹木の頂点を結んだ線が

一直線になるのを避けます

スカイラインに曲線的なリズムをつくるため

高木の脇に低木を植えます。

 

※スカイラインとは、空を背にして山や建造物の

連なりで見える輪郭の線のことです。

 

 

 

⑥混種

1)混植

高・中・低木、常緑など、さまざまな木々を組み

合わせて植えます。

それぞれ、単幹、株立ちがあります。

形、紅葉の色、花の形状、咲く時期、下草との

関係などを考慮します。

 

2)混植の対峙

木群と木群の対峙は、1+1=2以上のパワーを

発揮します。

木々が対峙することで、エネルギーのぶつかり合いが

次々に伝えわる効果があります。

 

※対峙とは、山などが向かい合ってそびえ立つこと。

※木群とは、樹木が群がり生えている場所のこと。

 森や林をいいます。

 

 

 彰国社  著者:水内真理子

【植物を生かしたエクステリアデザインのポイント】

「2章 植栽計画の基本的な技法

  2-2 植栽による空間演出① 配植の手法 」より