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コラム

2022年5月2日

樹種選定のポイント1(機能性・審美性・空間演出)

 

樹種選定のポイントとは、機能性・審美性

(自然のもつ本当の美しさを的確に見極めること)

にあった組み合わせを考えます。

 

 

樹木の機能と効果をイメージします。

 

樹木の役割には、夏の日照を遮断緑陰をつくり、

シンボリックな景色をつくる役割や、防風、防雪、

防火、防音などの生活環境を保護する機能もあります。

防風林

また、擁壁など景観上、覆い隠したい部分に効果的に

植樹することもあります。

 

最近では、環境保全の観点から、微気候の活用や

生態系の維持・保全を図る目的も重視されるよう

になっています。

 

 

 

植栽地の適応性などを確認します。

 

地域の景観や環境に調和することが基本です。

 

敷地の環境や隣地への影響、特に植栽による隣家への

影響樹木の成長を見越した住宅とのスペースの

取り合いなどを考慮します。

 

道路や隣地境界沿いでは、窓からの視界、通りからの

景観を考慮し、主な鑑賞の視点を確認し、周辺環境と

調和したデザインとします

高木

さらに、植栽選定にあたっては、その植物の気候区への

適応性も注意します。

 

 

樹木による空間演出の視点を考えます。

 

それぞれの植物の特性を理解し、建物や環境に合った

植物を選び、その配植の機能性や美しさを選択し、

組み合わせをすることが大切です。

 

樹木の美しさは、樹幹美、枝条美,葉色美、根張り美

があります。

 

また樹木の色彩の美しさとして、樹冠色、樹幹色、新葉、

紅葉、花色、果実色の美しさ、さらに芳香、生態により

美があります。

 

これらの樹木の個性美を組み合わせることが大切です。

 

1)株立ちと単種の選定

単植は1本の樹木を独立して植えることであり、四方

からの視線に耐える見栄えのよい樹木が用いられます。

 

株立ちは平坦な住宅の庭でも雑木林のように見せる

ことができ、どこから見てもよく映えるものが多く、樹形に

ボリュームがあるので、幹枝の方向を合わせて寄せ植え

にすると美しいです。

 

雑木を単植にする場合は、その樹の特徴を示す枝振りの

よい面を見せるようにします。

 

落葉樹は、冬の景観を考え小枝の形の美しいものを選びます。

落葉樹

 

棒立ちに使われる主な樹木には、アオハダ、アカシデ、

エゴノキ、クヌギ、コナラ、シマトネリコ、シャラノキ、

モミジ類、ヤマボウシ、リョウブなどがあります。

シマトネリコ

 

単植に使われる主な樹木は、イヌマキ、クロマツ、

コニファー類、オリーブ、ゲッケイジュ、ソヨゴ、

モッコク、ウメ、コブシ、サクラ類、ハナミズキ

などがあります。

オリーブ

 

2)仕立て物と雑木

樹木を人の手を入れずに生長させると樹種特有の樹形になります。

これは、自然樹形といいます。

シラカシ

 

一方、刈り込み、選定などによって人工的につくられたものを

人工樹形といいます。

 

マツやマキなどを用いる日本庭園の伝統的な仕立て方と、

トピアリーなどのように欧米から導入されたものがあり、

生垣も人工樹形のひとつです。

 

樹林を門柱のように仕立てたり、オーナメント(象徴物を

用いた装飾品)として動物性やベンチに仕立てる事もあります。

 

常緑樹の自然樹形を用いる場合は、庭の主木です。

落葉樹はその幹枝の形態から景色のポイントとして植栽します。

 

彰国社  著者:水内真理子

【植物を生かしたエクステリアデザインのポイント】

「1章 エクステリア計画に必要な植物の基礎知識

  1-8 樹木の選び方①    」より