column
コラム
2022年6月13日
気勢を考えた動きのある景観づくり
気勢とは
樹木の気勢とは、その樹木が周囲に影響を
与える固有の勢いの方向です。
気勢には、強さと範囲があります。
気勢を踏まえた計画は、場の方向性、勢いを強調
する「動の景観」づくりです。
庭を構成するものは樹木や石などといった自然の
ものが中心となります。
樹木は建築材料と異なり定形ではなく、それぞれの
自然な形があります。
樹木は平地の畑でとられたものや、山取りの斜面に
生えていたものなどがあり、その生い立ちによって、
生長したときの樹形が決まってきます。
その樹木や石のもつ内面のエネルギーのベクトル
(大きさと向きを持つ量)をつかんで生かすことが、
植栽計画の醍醐味なのです。
①樹木の裏表
日差しを受け、明るい方向に伸びた側が木表です。
樹木を植える際に、たて入れ(植える傾き具合)に
気をつけます。
庭木としてよい樹木は、木表から見た立面は直線で
すが、横から見ると穏やかにS字形に幹が曲がって
いる樹木のことです。
②気勢の方向
物体には、それぞれ形がもっている気勢の方向が感じ
られます。
正方形や円形には方向感が少なく、四方向に気勢が
あります。
コニファー類は四方に均一に気勢があります。
ゴールトクレスト
庭石の気勢には、左右の長手方向、特に先細った
左側が強くなります。
庭石
③樹木の気勢
樹木はその樹形や配植で気勢が変わります。
その気勢を生かすことで趣のあるエクステリア
(庭や構造物等)や庭園の景色ができ上ります。
株立ちの樹木は、複数の樹幹がありますが、それら
の軸線は地中の1点に中心があり安定しています。
2本の樹木が向かい合うことで、気勢が衝突しています。
その中間には、気が集中して緊張した空間が生まれます。
2本の樹木では、互いに反発していますが、中心に
樹木を入れると安定した形態になります。
気勢の方向は地下の五1点に向かい安定します。
彰国社 著者:水内真理子
【植物を生かしたエクステリアデザインのポイント】
「2章 植栽計画の基本的な技法
2-3 植栽による空間演出② 気勢を考えた動きのある景観づくり 」より